結晶世界(J・G・バラード)を読んだ感想を紹介!おすすめしたいのはこんな人!

 

J・G・バラードは20世紀を代表するSF作家で、未来社会や独特の心理状態を描いた作品で知られています。

彼の作品は、技術や環境の変化が人間の心理や社会に与える影響を探求し、しばしば荒廃した世界観や内省的なテーマを特徴とします。

また、現代文明の暗部を鋭く洞察し、その予言的な視点は多くの読者を魅了しています。

そこで今回は、結晶世界(J・G・バラード)を読んだ感想やおすすめしたい人、プロフィールや経歴についても調べてみました。

ぜひ、最後までご覧ください。

結晶世界(J・G・バラード)を読んだ感想は?

早速、決勝世界を読んだ感想からご紹介しましょう。

この作品は、結晶していく世界を描いた作品です。

その結晶化していく世界が、実に静謐で美しいのです。

主人公が十字架を背負ってその世界を進むシーンを読みながら、私の頭のなかには、チック・コリアひきいるフュージョングループのリターン・トゥ・フォーエヴァーの演奏する「リターン・トゥ・フォーエヴァー」の曲が鳴り響いていました。

いま思い出しても、それは不思議で、魅力的な読書体験でした。

また、一方で、アイロニーとでもいうべきテーマを感じました。

主人公は宝石のついた十字架を背負って、結晶の森を進みます。天然の結晶である宝石の力で、自らの身体が結晶化するのを防ぐためです。

結晶の森には、らい病に犯された人々がたくさん入り込んでいるのですが、そのうち、親と離れた場所で結晶化している子どもがいました。

主人公はその子供を十字架の宝石の力で結晶化を解いてやります。子供は親の元へたどりつくことができました。

このあたり、ナザレのイエスのアイロニーのように、私には感じられました。

つまり、十字架を背負った主人公は、キリストを暗示しているのです。

でも、ここではキリストの暗示である主人公は世界を救うことなどできず、できたことと言えば、結晶化した子供を一時的に自由にしてやることだけなわけです。

結晶化していく世界の前では、キリスト教など無力である、とでも訴えているかのようで、興味深かったです。

最近ではあまり読まれることのない作品かもしれませんが、ぜひ読んでみてほしい一作です。

J・G・バラードのプロフィールや経歴は?

ここでは、J・G・バラードのプロフィールや経歴をご紹介します。

プロフィールについて

  • 名前:J・G・バラード
  • 本名: James Graham Ballard
  • 年齢:享年78歳(2009年4月19日死亡)
  • 生年月日:1930年11月15日
  • 出身:上海生まれのイギリス人 

経歴やエピソードについて

少年時代を中国の上海で過ごしています。

第二次世界大戦勃発により、日本軍にとらえられ、捕虜収容所で過ごすことになったそうです。

そのときの体験をもとに、のちに『太陽のの帝国』を書いていて、『太陽の帝国』はスティーブン・スピルバーグ監督により映画化もされています。

1946年にイギリスに帰国し、やがて作家活動を開始します。

1960年代に、「破滅三部作」と呼ばれる、『沈んだ世界』『燃える世界』『結晶世界』で、破滅していく世界を耽美的に描いています。

感覚的に言うなら、「ドロリとした美しさ」でしょうか。

1970年代になると、 『クラッシュ』『コンクリート・アイランド』『ハイ-ライズ』の「テクノロジー三部作」によって、科学技術の産物と人間との関係を追求します。

このころの作品は退廃美というより、退廃的な醜さが勝っています。

また、 『太陽の帝国』、『女たちの優しさ』などの自伝的な作品も発表していて、『太陽の帝国』では、テクノロジーへの憧憬と魅惑的な破滅する世界が描かれています。

J・G・バラードの主な代表作品は?

ここでは、J・G・バラードの主な代表作品をご紹介します。

  • 結晶世界
  • 燃える世界
  • 沈む世界

今回はご紹介した「結晶世界」を含めた上記の3つを挙げたいと思います。

ぜひ、チェックしてみてくださいね!

結晶世界(J・G・バラード)をおすすめしたいのはこんな人!

最後に、結晶世界(J・G・バラード)をおすすめしたい人についてご紹介します。

お勧めするのは、まずSFに興味のある人です。

世界が結晶化する、といっても、興味の全くない人では「なんだ、それ」という反応しかないかもしれませんから。

そして、SFに興味はあるけれど、いろいろと読んでみて、少し最近のものに飽きた、という人にお勧めしたいです。

というのも、「結晶世界」は、内的宇宙を描いた、当時のニューウェーブと捕えられていたからです。

いまでも変わらず新しい感じがすると思いますよ。

例えば、「スターウォーズ」などの外的宇宙ものとは根本的に異なります。

人間の内面を深く深くえぐりこんでいった作品なのです。

現在、これに近い感覚なのは、SFではなく、むしろ一部の純文学作品かもしれません。

もちろん、バラードの「結晶世界」は純文学作品のように難しくはないので、普通のSFファンに、気楽に読んでいただきたいと思います。

まとめ

今回は、J.G.バラードの「結晶世界」についてご紹介しました。

「結晶世界」は、技術と環境の変化が人間の心理に与える影響を深く掘り下げた作品です。

この小説を通して、私たちは退廃的だが美的な未来社会の描写に触れることができます。

バラードの洞察は現代文明の暗部を鋭く捉えており、その予言的な視点は今もなお鮮明かと思います。

ぜひ、「結晶世界」を手に取って読んでみてもらいたいですね!

最後までご覧いただき、ありがとうございました。